「足は第二の心臓」とも呼ばれるように、脚の動脈硬化によって血管が細くなり血流が途絶えると、歩行困難や足の切断に至ることがあります。近年、糖尿病などの生活習慣病の増加に伴い、足が腐ってしまうような重症虚血の症例が年々増えております。以前であれば、すぐに足を切るしか方法がなく、下肢の切断に至ると、ある種のがんよりも 5 年生存率は低くなるため、血流の再開通は非常に重要です。
近年治療法の進歩は目覚ましく、カテーテル治療が一般的になってきています。血管拡張する方法として、バルーンカテーテル(風船)によって一時的に狭窄した血管を拡げる血管拡張術と、金属ステントを留置することによって術後も物理的に血管を拡げるステント留置術があります。
膝下の動脈は 4 mm 以下と細く、適切なステントがないため開発が望まれていました。我々の研究グループでは、この膝下の細径動脈に対して使用できるステントの開発を行なっております。これまでに細径の血管に留置しても十分に血流を確保できる独自のステントデザインを開発しました。このステントには、血栓が付きにくく、また異物反応を抑制するコーティングを搭載しており、生体適合性を向上しております。このため、安全に血管内に留置することができ、長期にわたって血流を確保し、脚の切断を回避することが期待されます。